まな板の「まな」の意味、由来。まな板の鯉はなぜ鯉?
まな板(まないた)は、調理で食材を切るときに台として用いる道具になります。
古来の日本では、調理で食材を切るときの台が板であったことから「まな板」の名があります。
国際的には、調理で食材を切るときの台は板だけではありません。
中華料理の調理で食材を切るときの台には切り株があります。
日本語での「まな板」は、「俎」や「俎板(まないた)」とも書きます。
英語では「cutting board」や「chopping board」と言います。
「まな板」・「俎板」の素材は、伝統的には木ですが現代は新しい素材も使われています。
新しく普及した素材には、プラスチックと合成ゴムがあります。
硬すぎる素材ですが、ごく稀にステンレスやガラスもあるようです。
日本の場合は、日本文化が形成されて以来、長らく「俎板(まな板)」の用材は木のみでした。
現在は家庭用・業務用共にプラスチック素材の俎板が多くなっています。
合成樹脂やゴムの俎板のメリットは、水分が浸透しないため抗菌性に優れていることです。
自治体によっては、業務用には樹脂・合成ゴム製の使用を定めているところもあるようです。
次に、まな板の「まな」の意味・まな板の漢字などについて紹介します。
まな板の「まな」の意味
まな板の「まな」の意味は、古事記にあるようです。
古事記に、「火遠理命海佐知(ほおりのみことうみさち)を以て魚釣(なつ)らすに」とあります。
古事記では、魚を「な」と言っています。
他の「な」と違いをもたせる意味でこれに接続語の「ま」をつけ、真魚(まな)を料理するということで「まな板」となったとされるという説があります。
「まな」には「真菜」という解釈もあります。
現在では「菜」は野菜類を示す言葉として用いられていますが、昔は「おかず」を全て「菜」と呼んでいました。
俎板の「俎」という漢字は、偏が「肉」・旁が「台」を示す字になります。
「俎」には、肉を調理する台という意味があります。
木製のまな板
まな板の「まな」の意味では、古事記からの説が有力です。
まな板・俎板の「俎」の漢字には、肉を調理する台という意味があります。
日本の俎板(まな板)は昔から木製です。
木製の俎板のメリットは、木には適度な硬さと弾力性があることです。
適度な硬さと弾力がある木製の俎板は、包丁の刃を傷めることがありません。
木には高い弾力性があるので、大きな修復力が期待できます。
高品質な俎板であれば、少々の傷なら短時間で自然に塞がります。
古くから俎板に用いられてきた木は、天然の抗菌作用に優れています。
木製の俎板は、削り直して再生することもできます。
水分を多く含む食材などと親和性があるので、刃物を入れた際に食材が滑るなどといったことがありません。
また、木は日本では入手しやすい素材なので古くから俎板の用材となってきました。
日本の俎板については、奈良時代に最古の記録があります。
俎板の用材となる木の種類は、江戸時代以来「ホオノキ」と「バッコヤナギ(別名ヤマネコヤナギ)」が最上とされています。
現代の日本の俎板の用材には、ホオノキ・ヤナギ・ヒノキ・イチョウ・ヒバ・キリ・アスナロ・ケヤキなどが使われています。
俎板(まな板)を使った言葉
俎板(まな板)を使った言葉や言い回しもあります。
・三寸まな板を見ぬく
・まな板の鯉
・俎上(そじょう)にのせる
・まな板に小判一枚初がつお
・行徳のまな板、などです。
「三寸まな板を見ぬく」という意味は、物事の隠された裏側の事実を見抜くことです。
物事の隠された裏側を見ぬく迫力のある鋭い眼力も、「三寸まな板を見ぬく」と表現します。
3寸(約9cm)もある板の向こう側を見るような凄いことであるという表現になります。